今年台湾で最大のヒットとなった映画が、「賽德克・巴萊」(セデック・バレ)です。これは、台湾が日本の植民地だった時代、台湾の原住民セデック族が起こした反乱(霧社事件)を元にしています。

ですから、日本人にとって、決して愉快な映画ではありません。むしろ、台湾好きな日本人(日本好きな台湾人)にとっては、 これほど見るのが辛い映画もないでしょう。自分の祖先と、友達の祖先が殺し合っているのですから。

 しかし、僕は、本当に台湾を理解しようと思うのなら、歴史の光の部分だけではなく、影の部分にも目を向けることが必要だと考えます。台湾人は親日だと言われています。しかし、その陰に何があったのか、いいことも、悪いことも、知らなければならないと思うのです。
特に、「賽德克・巴萊」について、インターネットで日本人の評判を探してみると、大部分は実際に見たこともないのに、「反日映画だ」、「台湾と日本の友好を損ねる映画だ」と、的外れなひどい評価ばかりです。
それでは、台湾は親日国だから、台湾人は日本人の賞賛しかしてはいけないのか?日本人の悪い面を描いたら、悪い映画なのか?そうじゃないだろう、と思います。 
この「賽德克・巴萊」は、日本の良かった面も、悪かった面も、バランスをとって描かれていると思います。正直、この映画を見た後、僕は台湾に9年いながら、日本と台湾の歴史について何も知らなかったことが恥ずかしくなりました。これから、本を読んだり、昔の日本統治時代を知るお年寄りに会ったりして、自分なりに日本と台湾の歴史を知りたいと思います。もちろん、八田與一記念館にも行くつもりです。あれは植民地時代の光の象徴ですから。僕は光と影の両方を知りたいと思っています。
誤解してほしくないのですが、別にいまさら謝罪しろとか、罪悪感を感じろ、とか言っているわけではありません。歴史は歴史です。ただ、一人の台湾好きとして、自分の祖先と、友達の祖先の間に何があったのか、知っておきたい。未来に目を向けるのは大事ですが、過去を全く知らないのはまずいだろう、と感じています。台湾好きな皆さんにも、歴史に目を向けるきっかけになってほしい、と思います。


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実は、この歴史問題も、僕がブログを再開した理由の一つです。今までツイッターでもちょこちょこ書いていたのですが、長文なのでどうしてもいくつかに切らなければなりません。すると、そのうちの一つだけがリツイートされて、フォロワーでない人から、前後の文脈を読まない的外れな批判が飛んできて、うんざりしていました。
まあ、ブログで全文を読んでも批判したい人はするでしょうが。特に、ツイッターが一つのアカウントを使い続けなければならないのと違い、ブログのコメントは完全な書き逃げが許されるので、こっちのほうが大変かもしれません・・・。


近いうちに、「賽德克・巴萊」の感想を書きたいと思うのですが、あまりにも複雑なので、読者の皆さんには「予習」をお願いしたい、と思っています。とりあえず、予告フィルムとその翻訳を貼っておきます。



0:00 樺山資紀(初代台湾総督)「台湾島は、大日本帝国の新たな領土であり、この高山あたりに、林産、鉱物、無限の資源が眠っている。」

0:20 大島少将「攻撃!」

0:27 日本軍兵士:「生蕃だー!こちら大泉中隊!今、蕃人の待ち伏せに遭い・・・」(「生蕃」は「非友好的な台湾原住民」、「蕃人」は「野蛮人」)

0:40 日本軍兵士「きれいだ・・」

0:48 莫那・魯道(セデック族頭目)「もしお前たちの文明が我々をひざまずかせようというのなら、わしらは徹底的に野蛮の誇りというものをお見せしよう・・・。本物のセデック族は・・・。」

1:00 高山初子(セデック族女性)「先に虹の向こうに行って待っています。」

1:02 巴萬・那威(セデック族少年)「おばあちゃん・・・どうして僕を置いていっちゃうの・・・。」

1:06 莫那魯道「セデック族は肉体が滅びてもかまわない。しかし、魂は守らなければならない!族人たち!虹の橋を渡ろう!永遠の狩場へ!行くぞ!」

1:18 日本軍「発射!」

1:30 鎌田弥彦(台湾守備隊総司令官)「撃て!」

1:46 莫那魯道「戦死しろ!セデック・バレ(本当のセデック族)!」
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